総合保健医療の創造と実践

 

研究科長 日々,目覚ましい勢いで発展を遂げている現代の医学・医療は,医療に携わる多職種間の協働と連携,すなわちチーム医療を抜きにしては成り立ちません。このチーム医療やチームケアの中で,看護師や臨床検査技師,理学療法士,作業療法士,薬剤師など,様々な医療専門職者が医師のイコールパートナーとして,それぞれの任務を的確に遂行していくためには,これらの医療専門職者にも幅広い専門知識と高度な技能が必要です。また,超高齢社会に突入した我が国においては,病院などにおける施設医療だけでなく,地域や家庭における医療の整備と充実が求められており,ここではこれらの医療専門職者や行政,福祉に携わる人々が中心的役割を果たすことになります。
 保健学は健康の維持・増進,疾病・障害の予防,患者や家族のケア,失われた身体機能の回復,医療技術の開発など,健康に関する様々な分野を教育・研究の対象にしています。「人々の健康は身体的,精神的,社会的,倫理的側面など,様々な観点に立って,総合的に考えなければならない。」これが,本学が掲げる総合保健医療Total Health Careです。
 神戸大学では平成11年4月に大学院医学系研究科の中に保健学専攻修士課程(博士前期課程),13年4月に博士後期課程が設置されましたが,平成20年4月に医学系研究科から独立して大学院保健学研究科になりました。保健学研究科は設置当初から,「総合保健医療の創造と実践」を理念に掲げ,これからの保健医療を担う教育・研究者や高度医療専門職者の育成を大学院教育の目的にしています。
 保健学研究科は看護学,病態解析学,リハビリテーション科学という3つの基幹領域と,地域保健学,国際保健学という2つの融合領域から構成されています。これら3つの基幹領域ではそれぞれの領域に関する独自のテーマで教育と研究を行っていますが,2つの融合領域では看護学,病態解析学,リハビリテーション科学が連携して,チーム医療やチームケアを含めた学際的テーマで教育と研究を行っており,全国的に見てもユニークな領域として注目を集めています。また,神戸大学は総合大学であり,その利点を活かして,医学研究科だけでなく,他の研究科とも連携した研究活動を展開しています。
 有能な教育・研究者や高度医療専門職者の育成は保健学を更に発展させるためには不可欠です。保健学に対する高い志と情熱を持つ若い人達が神戸大学大学院保健学研究科に集い,共に学び,切磋琢磨しながら保健学の未来を切り開いていく。それを私たちは期待しています。

(神戸大学大学院保健学研究科長  三木明徳)

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