本プログラム育成人材が生み出す循環的な社会資源成長

医療職者は都市部に集中する傾向にあり、医療過疎地域では人手不足が深刻化しています。このような地域では高齢化が急速に進んでおり、医療・介護サービスの提供に大きな影響を及ぼしています。高齢者は複数の疾患を抱えている場合が多く、慢性疾患の管理や精神的ケアなど、複雑な医療・介護ニーズが増大しているため、地域医療の現場では、幅広い疾患に対応できる総合的な能力と、多職種と連携するための知識やスキルを持った医療職者が必要とされています。
本プログラムは、主に兵庫県内の医療過疎地域に従事または従事を志す医師、保健師・看護師、薬剤師、理学・作業療法士、管理栄養士、社会福祉士、介護士、ケアマネジャーなどを対象としています。地域医療の喫緊の課題に対応するため、地域医療の全体像を把握した上で、慢性疾患や精神疾患の予防から管理までを包括的に対応できる能力を養い、さらに地域における医療DXを推進するためにIoT・ICTを理解し、日々の業務に活用することで、地域医療の効率化と質の向上を実現できる指導的な医療職者の育成を目指します。

事業の概念図

プログラムの構成

 プログラムの構成は、①地域医療概論と多職種連携の基礎②生活習慣病の地域におけるマネジメント③認知症予防と精神疾患の地域ケア④地域医療におけるIoT・ICTの活用⑤事例検討と実践的演習の全5モジュールで構成しています。地理的・時間的制約のある医療過疎地の従事者に向けたプログラムであるため、LMSおよび既存の保健学研究科リカレントプログラムを活用し、オンデマンド・オンライン形式で実施します。これにより、これまで学習機会が限られていた地域の医療・介護従事者の学びのアクセスを最大限に高めます。
 プログラム修了者は、複合的なニーズを抱える患者に対して多角的な視点からアプローチでき、自身の専門性を地域医療の中で最大限に発揮できるようになります。また、DX化が遅れている地域医療現場の改革にも寄与することが期待されます。これにより、地域医療連携の円滑化と効率化が進み、最終的には地域住民の健康寿命の延伸に貢献することを目指します。