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ごあいさつ

研究科長:秋末敏宏


日本では世界一最速で高齢化が進展し、少子・超高齢社会は保健・医療分野のみでなく、社会的にも解決すべき喫緊の課題であります。一方、アジア諸国においても、日本の後を追うように急速に少子高齢化が進展しており、今後その対策が必要とされています。日本における少子・超高齢社会への対策は先行モデルとしてアジア諸国が注視しています。また、アジア諸国では経済格差や民族・宗教の多様性に起因する社会問題などの不安定要素を内在しています。さらに、熱帯地方を中心にマラリア・デング熱などの感染症の問題もあり、生活習慣病や高齢化と併せて、非常に多くの問題を抱えております。しかし、これらの問題は、国や地域により異なり、それぞれの状況に応じた対策が必要となっております。

神戸大学は、アジア地域において多くの海外拠点を有しており、保健学研究科ではこれまでASEAN諸国との連携・協働により保健・医療分野における高度専門人材および研究者の育成を推進してまいりました。これらの経験をもとに保健学研究科では、この多様化するアジア諸国の保健衛生問題に対応するために、平成28年度(2016年)に「アジア健康科学フロンティアセンター」を保健学研究科内に設置いたしました。本センターを中心とした神戸大学内の他研究科との文理融合、更に学内外での異分野共創を推進し、アジア諸国の研究者との連携による文理融合・異分野共創型の研究を目指したいと考えております。そして、健康で安心安全な社会構築のための異分野共創による社会実装へと繋げてゆくことにより、今後、本センターの活動が、国内外、特にアジア諸国において貢献できることを期待しております。


センター長:西村範行


アジア諸国の保健衛生課題は、感染症対策から、母子保健、生活習慣病、高齢者対策までを包括しており、個人のライフステージに合わせた継ぎ目のない(シームレスな)支援を可能とするヘルスケアシステムの構築が求められています。保健学研究科では、これまで学部教育や大学院教育を通してベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、台湾といったASEAN諸国と連携し、アジア地域における保健・医療専門職や健康科学分野の教育研究者育成を推進してきました。本センターでは、これまでの取り組みをより強化し、ASEAN諸国の大学、研究機関、国際機関と既に構築されたネットワークを活用してアジア諸国の保健衛生課題解決を目指したいと考えております。

本センターには、1)少子化、母子保健課題に対応するグロース&ディベロップメント部門、2)生活習慣病や高齢化社会に対応するサクセスフル・エイジング部門、3)感染症に対応するインフェクシャス・コントロール部門、4)保健衛生課題可決策の社会実装、社会基盤化に対応するヘルスリテラシー部門、を設置しましたので、これら4部門が連携して、アジア地域における真に必要なヘルスケアシステムの構築に貢献したいと考えております。

Frontier Center for Asian Health Sciences