神戸大学医学部保健学科・大学院保健学研究科

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大学院保健学研究科
Kobe University Graduate School of Health Sciences

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国際保健学領域

国際保健学とは、国際的観点から健康水準の格差やその格差が生じる要因、さらには改善のための方策を研究し解明する学問である。本領域は感染症対策、国際保健協力活動、および国際開発の3分野から成り、それぞれ疫学的手法や遺伝子あるいは分子レベルでこれらの疾病の疫学的特異性の解明、災害後の復興過程で見過ごされた人々への保健指導や地域開発の指導、さらには持続的開発の多面的な理解と実践にともなう諸問題への順応的制御、を目指した研究を行っている。すなわちマクロな観点のフィールド調査とミクロな視点のラボ研究との包括的研究が本領域の特色である。我が国は保健学分野ではその最先端にあり、支援能力や力量も有しているため、疾病対策の指導や援助を実践する国際保健協力の人材養成と国際貢献も本領域に求められている使命の一つと認識している。

本領域では保健学に加えて、異文化コミュニケーションと人間理解や政治・経済的な諸問題の知識も極めて重要である。特に途上国では人材養成の分野で、中進国では適正技術の応用的展開と研究指導の分野でのニーズが増すと予測される。そのため、医歯薬、保健、栄養系の出身者に留まらず、理学、農学、環境科学等の医学をベースとしない者の受け入れも視野に入れている。国際保健を通じて途上国での国際協力や国際貢献を目指す者、さらには途上国からの留学生も積極的に受け入れる。前期課程では実務人材を養成し、後期課程では国際機関等の保健関係職員や保健系大学での国際保健学の教員や研究者、それらに加えて研究指導ができる専門職を輩出することを目指したカリキュラムを編成している。講義、演習、研究指導の一部は英語で行うとともに、既に交流関係にあるタイ、カンボジア、インドネシア、ネパール、あるいはフィリピンなどの大学や研究所との共同研究を通じ、国際保健研究活動を展開していく。すなわち、これら諸外国からの研究者を招聘し、学術講演会などを定期的に実施するとともに、現地に於ける演習を行い院生の研究実践能力の涵養に努める。このような本領域における教育・研究を通じて、国際的な視野をもち、かつ総合保健医療の一翼を担うことの出来る医療職者を養成する。

感染症対策分野

感染症は、今もって人類に脅威を与え続け、世界におけるヒトの死因の3分の1を占める重要な病気である。新しく出現する感染症も多く知られており、近々パンデミック(地球規模の大流行)も起こることが確実視されている。

神戸大学大学院保健学研究科は、寄生虫学、細菌学そしてウイルス学の専門家が揃う、全国の保健学系大学・大学院において他に例を見ない貴重な大学院大学である。その専門家集団が所属するのが感染症対策分野である。

当分野では、感染症を制圧するために研究及び教育に取り組む。疫学的手法を用いて広く国際感染症学、具体的には病原体の検査学や新手法のワクチン学などを対象として診断や予防に焦点を当てた社会貢献に尽力している。教授1名、准教授2名、助教1名そして多数の大学院生から構成される活発で有機的な学問集団である。

感染症に国境はない。感染症対策分野で学究に励む構成員は、実験室内での研究にとどまらず、海外派遣によりフィールドワークも果たす。人々の健康な生活を願う国際社会の中で、縦横に活動し感染症に立ち向かう。

国際保健協力活動分野

国際保健協力活動分野では、これから国際保健協力の分野で実践活動をしようとする保健医療専門職やすでに実践経験のある専門職が、グローバル化した現代社会における健康問題に関して、プライマリーヘルスケアの概念を基盤に、現実的で実践的な問題解決の方略を学ぶ。そして、様々な地域で暮らしている人々の中に入り、人々とともに考え、計画し、保健活動を実施・評価していくことができる、また、そのために関連する専門家や組織と協働的活動ができ、国際保健協力活動チームの一員として活躍できる人材の育成を目指している。そのため、学生は必要な専門的知識、協働的実践のための知識やスキル、研究能力を修得し、省察的実践家、研究者、教育者へと成長することが期待される。

教授2名、准教授2名、講師1名、助教1名から構成される当分野の研究領域はリプロダクティブヘルス、肝疾患、看護、リハビリテーションなど多岐にわたり、これらの研究領域では、多くの異なる専門領域の学生が相互に学びあう学習環境を重視する。自己の専門性を他者に説明し、他者の専門性を理解することを通して、国際保健医療チームの中で活動できる専門職としての素養を磨いて欲しい。

国際開発分野

2000年、国連は「ミレニアム開発目標(MDGs)」を掲げた「ミレニアム宣言」を採択した。MDGsは途上国の貧困削減と保健向上等を目指した到達目標であり、その期限は2015年である。(1)極度の貧困と飢餓の撲滅、(2)普遍的初等教育の達成、(3)ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上、(4)幼児死亡率の削減、(5)妊産婦の健康の改善、(6)HIV/ AIDS、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、(7)環境の持続可能性の確保、(8)開発のためのグローバル・パートナーシップの推進、という8つの目標の中には、概ね達成できそうなものもあれば、母子保健など、おそらく間に合わないと評価されるものも含まれているが、サハラ以南のアフリカでは相対的に遅れているなど、地域間格差がある。

国際保健や国際協力の専門家の間では、国連等の公式・非公式な会議を通して、既に"post MDGs"あるいは"Beyond2015"についての議論が進んでおり、世界中のどこでも必要な人に必要な保健医療を提供することを目指す"Universal Health Coverage"や、開発の持続可能性(及び、それを可能にするための、すべての関係者のボーダーを超えた協力関係)、さらには都市部における感染症と慢性非感染症と事故・犯罪という三重負荷への対策の必要性が検討されている。

国際援助や国際協力においては、どんなに莫大な投資がなされたとしても、受け手側がシステムを維持できなかったり、真のニーズを満たしていなかったりすると、まったく効果が無い。例えば、狩猟採集民の定住化政策を考えてみる。定住化によって生業が農耕牧畜になると、食糧供給が安定し、さまざまな行政サービスの提供も容易になる一方で、集住によって感染症が流行しやすくなり、生活活動強度が低下することで肥満が増え慢性非感染症も増加するという悪影響もある。そこで、診療所を作って疾病治療をしたり、ワクチン接種によって感染症を予防するシステム作りが必要になってくる。援助が終わっても、狩猟採集生活には戻れないため、診療所でのワクチン接種や治療を現地住民だけで維持していかなくてはならない。これは非常に困難なことである。このような援助が持続可能であるためには、教育や産業を含めてインフラ全体が底上げされる必要があり、それが可能かどうかは、援助実施前に評価しておく必要がある。そのために必要なのは、受け手側や援助側の集団を、多角的・包括的に(言い換えると人類生態学的に)把握しなくてはならない。当分野では、このようなトピックについて研究・教育を行っている。

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感染症対策
国際保健協力活動
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